動物介護士が解説|老犬が夜寝ないけど大丈夫?原因と対処法
愛犬が、夜も寝ないでグルグル回っていたり、興奮している、ウロウロしている、ハァハァしているといった姿を見ると、どこか悪いのでなないかと心配になりますね。
また、目が離せずに飼い主さん自身も寝不足になることもあるでしょう。
実際、私の愛犬は17歳をすぎたあたりから、夜になると興奮したり、一晩中寝ないでフラフラになりながらもグルグル回っていて、高齢老犬なので体力の消耗が心配でたまらなかったことがあります。
老犬が夜に寝ない原因はさまざまありますが、認知症や脳腫瘍といった病気が隠れていることもあり、原因を探って適切に対処してあげることが大切です。
そこで今回は、老犬が寝ない原因や、寝ないリスク、対処法について解説します。
寝ないで体力を消耗させてしまうことは、衰弱や病気の進行を早めてしまう可能性もあるため、ぜひ参考にしてください。
そもそも老犬が夜寝ない原因は?昼寝や病気など主な原因5つ
老犬が寝ない原因はさまざまなことが考えられるため、自己判断ですぐに認知症と決めつけないことが大切です。
■ 老犬が寝ない主な原因 |
ここでもう少し詳しく見ていきましょう。
①日中に寝ている
もしかしたら、日中にたくさん寝すぎていて夜に寝れなくなっているのかもしれません。
老犬になると、活動量が減るのはもちろん、疲れやすくなったり関節炎などを患っていたりするため、若いころに比べて動きたがらなかったり、寝ている時間が増えるのは正常なことです。
■ 犬の平均睡眠時間 ・子犬…18~19時間程度 ・成犬…12~15時間程度 ・老犬…18~20時間程度 |
しかし、だからと言って日中にずっと寝ていれば、体内時計が狂ってしまい、昼夜逆転して夜に寝ないということになります。
老犬は睡眠時間を多く必要とするため適度なお昼寝は大切ですが、無理のない範囲でお散歩に連れていってあげたり、室内で短時間一緒に遊んであげる、知育トイを活用するなど、なるべく日中は必要以上に寝ないようにしてもらいましょう。
②食事量が足りていない
老犬が夜に寝ない原因に、食事量が十分でないということもあります。
老犬は消化機能の衰えから、食欲が低下しがちで一度にたくさん食べることができなかったり、歯周病などで口の中が痛くて食べたくても食べられないということがあります。
さらに、関節などが痛くて食べる体勢が維持できずに途中でご飯を食べるのをやめてしまうということもあるでしょう。
そのため、夜間に空腹となり、寝ないで吠えて訴えたりウロウロと歩き回ったりする老犬もいます。
食事の回数を増やしたり食器台を利用する、食べやすい食事にしてあげるなどの工夫をしてあげましょう。
③トイレに行きたい
老犬が夜に寝ない原因には、トイレに行きたいということもあります。
お腹が痛い、ちゃんと出きっていなくて気持ち悪い、夜間は暗くてトイレの場所がわからないなど、排泄したいのにできないことで寝れないのかもしれません。
実際、愛犬が夜間に寝ないでずっとトイレトレーの上でグルグル回っていたことがあり、動画を撮ってかかりつけの獣医師に見せると「認知症との判断は難しいですが、この様子だとお腹が痛いのかもしれません」と言われたことがあります。
愛犬は結局大腸炎だったのですが、老犬はちょっとしたことで胃腸炎を起こしたり、排泄トラブルを抱えやすいため、急に寝ないでウロウロしたりする場合は一度かかりつけの動物病院に相談してみましょう。
④体調が悪い
老犬が夜に寝ないのは、体の中で異常が起きており、どこかが痛い・呼吸が苦しいなどの不調を抱えているのかもしれません。
老犬がかかりやすい病気はたくさんあるため、夜に寝ないだけでなく元気も食欲もない場合や、ハァハァと呼吸が荒いことがある場合は、重症化する前に早めに動物病院を受診することをおすすめします。
■ 老犬がかかりやすい主な病気 皮膚炎 / 関節炎 / 歯周病 / 胃腸炎 / ホルモン疾患 / 心臓病 / 腎臓病 / 腫瘍 / 認知症 / 椎間板ヘルニア / 肺炎 / 子宮蓄膿症 など |
⑤認知症や脳腫瘍
前述でも触れたように、老犬が夜に寝ない原因は認知症や脳腫瘍ということもあります。
どちらもグルグル回る、物にぶつかる、ボーっとしている、性格の変化といった似たような症状が見られますが、脳腫瘍では眼振が見られたり首の傾きなどが見られることがあります。
ただし、飼い主さんが判断することはできないため、一度獣医師にご相談ください。
夜鳴きが心配な飼い主さんは下記の記事も参考にしてみてください⇩
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老犬が夜寝ないのは大丈夫?1日中寝ない場合は注意が必要
老犬が夜寝ないことを心配する飼い主さんも多いですが、日中にしっかり寝ていれば昼夜逆転しているだけなので、そこまで心配する必要はありません。
しかし、あまりにも寝ている時間が少ない場合や、1日中寝ないで起きている場合では注意が必要です。
ここでは、睡眠の重要性や老犬が寝ないリスクについて解説します。
睡眠の重要性
睡眠は、日中の活動で疲れた心身を回復させたり、成長ホルモンの分泌が増える、免疫細胞の活動時間など、重要な役割を担っています。(※1)
成長ホルモンは子犬の成長に必要なだけでなく、傷ついた細胞の修復なども行う大切なホルモンです。
十分な睡眠を取ることが免疫力の向上につながるため、愛犬にしっかり睡眠を取ってもらうことは健康に過ごしてもらうためにも必要なことと言えるでしょう。
また、睡眠は犬の記憶の定着にもかかわっている可能性が示唆されています。(※2)
※1参考:バイオメカニズム学会誌「ヒトや動物はなぜ眠るのか」
※2参考:Scientiffic reports「EEG Transients in the Sigma Range During non-REM Sleep Predict Learning in Dogs」
寝ないことで起きる問題
老犬が寝ないでいると、以下のような問題が起きてしまいます。
■ 老犬が寝ない主なリスク |
夜に寝ないだけなら体調面の大きな負担を心配する必要はありませんが、夜だけでなく日中もまったく寝ない、もしくは寝てもすぐ起きてしまってほとんど寝ない状態が続いている場合では、体に悪影響を及ぼす可能性があるため、早めに動物病院を受診することをおすすめします。
老犬が夜寝ないときの対処法は?生活リズムを作ってあげる
老犬の夜に寝ないでウロウロするような行為は、基本的にケガをしないように十分に注意すれば、無理に止めたり寝かしつける必要はなく、そのまま好きなようにさせてあげていいとされています。
しかし、それでは飼い主さんもゆっくり眠ることができず、疲弊してしまいますね。
また、老犬が夜だけでなく、1日中寝ないでいれば老犬の体力も消耗していきます。
では、老犬が夜に寝ないときはどんな対処法が効果的なのでしょうか。
■ 老犬が寝ないときの対処法5つ |
詳しく見ていきましょう。
①生活リズムを整える
まずは、昼夜逆転してしまっている老犬の生活リズムを戻し、規則正しい生活を送らせてあげましょう。
きっちり決める必要はありませんが、ご飯の時間や散歩の時間、寝る時間などを毎日同じような時間帯にしてあげることが大切です。
また、可能であれば日中に頭を使う遊びを一緒に行うなどして適度に疲れさせてあげると、夜は疲れて寝てくれやすいでしょう。
②日光浴をしてもらう
質の良い睡眠への誘導や、狂ってしまった体内時計をリセットするために、1日15分〜30分程度の日光浴をさせてあげましょう。
太陽の光を浴びることで脳内の神経伝達物質の1つであるセロトニンの分泌が促進され、精神の安定や体内時計の調整などを行います。
セロトニンは夜になるとメラトニンとなり、自然な睡眠への誘導や睡眠リズムの調整を行ってくれるため、太陽の光を浴びてセロトニンを増やすことが睡眠の質を高めてあげることに繋がるのです。
日光浴はお散歩だけでなく、庭やベランダ、カーテンを開けた窓際でも可能なので、愛犬の状態や季節などに配慮して、負担とならない方法で日光浴を行ってください。
③安心させてあげる
老犬になると、不安が強くなる傾向にあります。
優しく撫でたり話しかける、そばにいるなど、安心してもらえるようにしてあげましょう。
また、安心して寝れるように、快適で心地よい寝床にしてあげることもおすすめです。
寝床のそばは騒がしくないか、暑すぎたり寒すぎたりしないか、寝床は硬すぎないかなど、環境にも配慮してあげましょう。
④脳ケアサプリメントで栄養を補う
これまでの3つの対処法に加え、サプリメントで脳に必要な栄養を補ってあげるといいでしょう。
老犬になると身体のさまざまな機能が衰えていき、栄養素の体内合成がうまくできなかったり、体内の活性酸素が増えていき細胞を傷つけたり死滅させるため、老化の進行だけでなく、認知症やガンなどさまざまな病気を引き起こしやすくなります。
特に脳は酸化ストレスを受けやすいため、活性酸素から体を守るための成分が含まれた脳ケアサプリメントを取り入れることがおすすめです。
近年、脳細胞の健康維持に脳の神経幹細胞に働きかけて神経細胞の新生(分化)を促し、新規細胞の成長や維持に深く関与すると考えられている神経栄養因子という物質が注目されています。
その神経栄養因子のような働きをすることがさまざまな試験から明らかになった、「バングレン」という成分が含まれているサプリメントもあります。
■ 脳ケアにおすすめの成分 |
老犬用の脳ケアサプリメントは種類が多いですが、多くはDHAやポリフェノール系の成分がほとんどです。
愛犬の体質にあったサプリメントを見つけることができれば、健康的な脳機能へ導き、認知症で夜に興奮したり寝ないという悩みも解消されたり和らげることができるでしょう。
さらに、脳ケアサプリメントを使用しても期待する効果が見られなかった場合は、新しいアプローチとして注目されているグネチンCやバングレンなどの成分を含むサプリメントをおすすめします。
また、動物病院で販売されている製品だと安心して愛犬に与えることができますね。
実際、私の愛犬は認知症になり、さまざまな脳ケアサプリメントを試しましたが、グネチンCとバングレンが含まれたサプリメントでは、愛犬の体質に合っていたのかいつも朝までぐっすり寝てくれていました。
食事から取り入れられる栄養素には限りがあるのはもちろん、老犬になると食が細くなる子もいるでしょう。
不足しがちな成分はサプリメントで効率的に取り入れられると良いですね。
※3参考:動物臨床医学「犬と猫の高齢性認知機能不全」
⑤動物病院を受診する
老犬が夜に寝ない原因が、日中に寝すぎていたり空腹によるもの以外は、動物病院を受診することを強くおすすめします。
飼い主さんの「認知症だろう」という思い込みは、隠れている重大な病気を見逃すことになり、愛犬のためにもなりません。
また、あまりにも寝ない場合は、老犬の体力温存のために愛犬の状態に合った適切なお薬が処方されることもあります。
獣医師に相談することで解決法が見つかったり、飼い主さんの心理的負担が軽減することにもつながるでしょう。
まとめ
愛犬が夜に寝ないでいると、心配で飼い主さんも寝られないですよね。
飼い主さん自身の精神的・体力的負担はもちろん、老犬では睡眠不足が体調不良や病気の悪化などに繋がることもあり、夜に寝ない場合は動物病院で相談することをおすすめします。
また、以下の対処法は毎日の健康維持にもつながり、悩みのない老犬にもおすすめなので、普段から実践してみてくださいね。
■ 老犬が寝ないときの対処法 |
老犬が夜寝ない原因はさまざまなことが考えられるため、思い込みや決めつけないことが大切です。
あなたの愛犬がぐっすり寝られますように。
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執筆者:高田(動物介護士)